2018年4月6日金曜日

震災レポート・戦後日本編(番外編 ④)―[ニッポン革命論 ②]

『挑発的ニッポン革命論』
         ―煽動の時代を生き抜け
            ― モーリー・ロバートソン
             集英社 2017.10.31                       ――(2)



【2章】欧州とテロリズム――吹き荒れる移民排斥の嵐――

・2016年8月、米大統領選挙のトランプの支持者集会で…英独立党のナイジェル・ファラージ党首が応援演説を行なった。
 (当時はトランプ陣営の劣勢が伝えられていたため)…グローバリズムや移民、そしてエスタブリッシュメントを徹底批判するレトリックで、イギリスの(EU離脱を決める)国民投票に勝ったファラージを、呼ぶことにしたのだろう。
→ 気になるのは、このように欧米の〝右派ポピュリストたち〟が、連携するような動きを見せていること。

・昨今の欧州では…英独立党、フランス国民戦線、ドイツのための選択肢、オランダ自由党、オーストリア自由党…といった極右とも言える右派政党が勢力を拡大し、大衆を煽りに煽っている。…その主義・主張は、トランプと似た部分も多く、ファラージに加えてフランス国民戦線のマリーヌ・ルペン党首なども、米大統領選挙でははっきりとトランプ支持を表明していた。
→ 彼らは、国境を越えて「煽動」という共通目的のために連携し、〝極右枢軸〟をつくろうとしているのかもしれない。…(そして1章で述べたとおり、その蝶番のような役割を果たしているのが、ロシアのプーチンだ…)

・ポピュリストの詭弁には共通点がある。…それは、個々の小さな事例を過剰に一般化し、そして「巨悪化」すること。…(ex. 右派のポピュリストなら、「ムスリムの移民が増えた → ムスリムが国を乗っ取ろうとしている」とか、「うちの国はEUへの予算負担が大きい → EU官僚がわが国民の富を食い物にしている」といった具合…)
…場合によっては半分ほど真実が混じっていることもあれば、1を100にするような針小棒大なストーリーもあるが……いずれにしても、こうした「火に油を注ぐ」ようなやり方が、〝現状に不満を持つ人々〟にはよく響くのだ。

・こうした構造はアメリカも欧州も同じだが(※そして日本でも…?)、ただし、欧州には違った事情もある。…アメリカと比べ、イスラム過激派や、その思想に共鳴するローンウルフによるテロの脅威が、はるかに身近なところにある…という点。
→ この現実は、欧州社会にどう影響しているのだろうか。


 (1)テロに揺さぶられる国民


○シャルリー・エブド襲撃事件が変えたもの


 ・2015年1月、フランス・パリで起きたシャルリー・エブド襲撃事件(覆面姿の武装犯たちが風刺雑誌の出版社を襲撃し、12人を殺害)…このテロ事件の背景には、(「表現の自由」とか「他人の宗教の尊重」とかの原理原則論だけでは片づけられない)とても複雑なものがある。

・欧米の西側資本主義社会では、「多文化共生」が半世紀に及ぶ大テーマだった。
→ 移民も積極的に受け入れ、民族や肌の色や宗教が違っても〝同じ国の人間〟として共存しよう…という理想を追ったわけだ。
…フランスは、そうした試みの先駆者たる国の一つだった。

・実際のところ、移民であってもその国のルールを受け入れ、現地社会で大成功した人たちもいる。…今も昔も、才能があって美しい超エリートたちは、出自も何も関係なく競争に勝ち抜いて輝けたのだ。
→ 彼らのサクセスストーリーは多くの人を感動させ、社会の一体感を保ち、多様性という価値観を育て、「共存のために対話をしよう」という美徳を支えてきた…と言っていい。

・しかし、今になって思えば、その美徳は〝豊かさの幻想〟があってこそ成り立つものだった。(※う~ん、これも〝リアル・ポリティクス〟?)

→〝経済成長〟に裏打ちされた…「頑張って働けば、今よりいい暮らしができる」という共通の信頼感…が、〝平等な社会〟という理想を、裏から支えていたのだ。
 〔※このことは、(「移民問題」を抜きにすれば)戦後の日本社会の姿にも当てはまるか…〕

→ それが崩れ始めたのは、1980年代から90年代…米レーガン政権、英サッチャー政権が大規模な金融規制緩和など〝新自由主義〟と呼ばれる政策を進めた結果 → やがて富が一部に集中し、中産階級が地盤沈下して、経済格差が広がった。…移民コミュニティの中でも、富の恩恵にあずかれない人が増えた。
→ グローバル化の流れに乗って、フランスやドイツなどでもやや遅れて、同じ現象が進行…。
 (※日本でも、アジアからの〝出稼ぎ〟という形で、同様の現象が進行中のよう…)

・そして2010年頃には、こうした格差が固定的なものと認識されるようになった。…言い換えれば、これは「絶望の確定」。
→〝平等な社会〟と言うけれど…いざ経済が悪化して全員に分け前が渡らなくなると、やっぱり出自で雇用や出世が差別される。→ そこで〝絶望や憎悪〟が生まれる…。
 〔※一時期、「トリクルダウン(おこぼれ)」とかいう言葉が流行ったなあ……参考:『新・日本の階級社会』講談社現代新書 2018.1.20……帯文:「もはや『格差』ではなく『階級』…固定化し、次世代へ『継承』される負の連鎖…900万人を超える新しい下層階級が誕生。日本社会未曾有の危機…」〕

・先進国生まれのムスリムの若者が、アルカイダのような過激な思想に共鳴している…そんなニュースを聞くようになったのも、やはり2010年頃から。…今ではある意味、そうした流れが必然性を帯びてしまっている。

・忘れてはいけないのは…欧米社会では常に「対話」の努力がなされてきた…ということ。…複雑な状況の中で、何十年間も互いに共存しようと努力してきた。
 (※う~ん、ここが日本に欠けているところか…)
→ それでも残念ながら、このような事件が起きてしまうと、社会の雰囲気は大きく変わる。
…(9・11の後、アメリカがムスリム監視やイラク侵攻といった方向へ雪崩を打ったことに、かなり批判的だった)フランスですら…ひとたびテロの〝当事者〟になると、治安当局がムスリムコミュニティへの監視を一気に強め、「疑わしきは捕まえる」…という空気になってしまった。
→ こうして、〝テロの脅威〟に直前した欧州各国では…ムスリムの〝自国文化への同化〟の強要、あるいは〝ムスリム排斥〟を訴える極右政党が、支持を伸ばしていったのだ。


○ルペンを押し上げた〝愚連隊志向〟


・シャルリー・エブド襲撃事件に続いて、パリを大規模な同時多発テロが襲った…(隣国ベルギーを拠点とする欧州生まれのIS(イスラム国)戦闘員たちによる、死者130人、負傷者300人以上という凄惨な事件)。
→ この事件直後の、フランス地域圏議会選挙の第1回投票では、全13地域圏のうち6地域圏で、〝移民排斥〟を訴えるマリーヌ・ルペンの国民戦線(FN)がトップを獲得。
…さらに2017年5月のフランス大統領選で、ルペンは決戦投票にまで残り、(単なる極右政党トップから)確固たる支持基盤を築いた大物政治家へと、上り詰めたのだ。

・当初フランスのメディアや知識人は、この女性をかなり甘く見ていた。…多くの主流メディアは、「こんなファシストを擁護するのは頭の悪い少数派だけだ」と、歯牙にもかけなかった。 (※う~ん、トランプの場合と似ている…)
→ しかし、ルペンはひたすら〝庶民〟に語りかけた。…イデオロギーよりも〝リアル〟を押し出して。
…実際のところ、近年多くのフランスの庶民は、「多文化共生」を心から歓迎しているわけではなく…その理念の下で自国社会に移民や難民が増えていく〝違和感〟を、なんとか飲み込んでいるだけだったのだ。 (※〝庶民的リアリズム〟か…)
→ そのことがわかっていたルペンは、国民が抱えるこうした〝違和感〟に…〝人々の本音〟を代弁して、支持を拡大させていった…。 (※これもトランプと似ている…)

・アメリカのトランプの例を見ても、そうした構造はよくわかる。…大統領選挙では、トランプの「ムスリム入国禁止発言」が…メディアで大きく取り上げられ、猛烈な批判を浴びたが…その後の世論調査でも、彼の支持率は変わらなかった。
 〔※かなり〝品格のない(姑息な)言動〟を多発している安倍首相の、支持率がなかなか落ちないのと、似ている…?〕

・表立って本音を言えない人々の溜飲を下げることに長けたポピュリストは…たとえメディアや知識層に厳しく批判されても…一方で必ず、「よくぞ言ってくれた」「差別的だが、真理を突いている」…といった賛同や消極的支持を獲得する。
→ そしてその結果、「全ムスリムを監視するのは是か非か」といった非常に低次元な、しかし〝炎上商法〟としては非常に有効な議論(※本質的ではないが話題を集められる議論?)へと、話をすり替えていくのだ。
 (※安倍政権の得意技も〝話のすり替え〟…?)

・自国が大きな危機に見舞われたり、〝本音を言いづらい社会状況〟に陥ったりしたとき、一部の大衆の間には「思い切り差別したい、乱暴に振る舞いたい」…という〝愚連隊志向〟が芽生える。 (※関東大震災のときの「朝鮮人虐殺事件」などもか…)
→ フランスは、実際にテロに遭ったばかりだったし…アメリカも、9・11同時多発テロなどの記憶があり…こうした背景が、ルペンやトランプの躍進を大いに後押ししただろう。

・ほかにも、多くの難民受け入れで世論が割れているドイツでは、移民排斥論者たちが…「政治家と大手メディアが世界を支配し、真実を隠している」という〝陰謀論〟の流布にある程度成功し…これもまた、「大手メディアはウソばかり」というトランプの主張と、非常によく似ている。


○ISのリクルーターが「非ムスリム」を落とす手口


・欧米に住むムスリムの若者(主に移民2世や3世)だけではなく、実はムスリムではない人々にも、すでに過激思想への誘惑の手は及んでいる。
…ISは、インターネットを中心にリクルートや煽動を行ってきたが…彼らのプロパガンダは質的にはあまり高くなく、それなりにリテラシーがあれば、荒唐無稽なデタラメや使い古された陰謀論が多々交じっていることは、すぐわかるレベルだ。
→ しかし、それでもそのプロパガンダをなんら疑うことなく〝丸のみ〟し、〝何かに目覚めてしまう〟若者が、世界各地に一定数いるのだ。

・そもそもISのプロパガンダは、マジョリティの共感を獲得する必要はない。…「世界の中のマイノリティ、異端者こそ立ち上がれ」…と焚きつけている。
→ 99.99%の人が拒絶しても、わずか0.01%、1万人に一人でもグサッと突き刺さればいい。

・世論が「勧善懲悪」の方に振れれば振れるほど、それに違和感を感じ、少しだけ集団から飛び出してしまう人というのは、必ずいるものだが…そういう〝人材〟をISのリクルーターは探すのだ。…まるでサメが、血のにおいを嗅いで弱った獲物を探すように…。

・(未遂の具体例がP96~97)…このケースは、先進国に住む非ムスリム(アメリカの片田舎に住む20代前半の女性)でさえも、ISの呼びかけの対象となっていたことを示している。…みんなが嫌悪感を示すもの、反対しているものに対し…「そんなことはない」と主張したがる人はどこにでもいる。
→〝逆張りの自分〟に価値を見いだすタイプの若者は、テロリストによるリクルートの格好のターゲットなのだ。

・もちろん、これは日本にとってもまったく他人事ではない。
→ テロ組織のリクルーターが、日本語という〝ガラパゴス言語の壁〟を乗り越え、狙いを定めてくるなら、〝和製ホームグロウンテロリスト〟は、いつ誕生してもおかしくないのだ。
 (※実際〝シリア行き〟直前だった若者がいたらしい…?)


(2)中東から世界に散るテロ


○ISが目をつけた〝見棄てられた民〟の半島


・2014年6月に「建国宣言」をしたIS(イスラム国)は、2016年以降は支配地域を減らしている。→ ただ、(中心となるシリアやイラクから)他の中東地域やアフリカ、あるいはアジアへと分散するなどして…その活動は続いているし、この傾向は今後も続くだろう。

・そうした〝分地〟の一つが、エジプト東部のシナイ半島。…その東端はイスラエルやパレスチナ自治区ガザと接し、西端にはスエズ運河が流れる…という地政学上、非常に特殊かつ重要な場所にある。
…また古くからシナイ半島では、「ベドウィン」と呼ばれるアラブ遊牧民が部族単位で暮らし、彼らは(エジプトの市民法ではなく)、独自の慣習法「ウルフ」に従い生活するなど…一般のエジプト国民とはまったく異なる存在でもある。
…1979年にアメリカの仲介で、エジプトとイスラエルが平和条約を結び、シナイ半島がエジプトに返還されて以来…エジプト政府はベドウィンを抑圧し続けてきた。
→ 彼らの歴史、生活、尊厳を踏みにじって土地を強制的に収奪し、大規模な開発を行った結果…今やシナイ半島南部は、エジプト有数のリゾート地となったのだ。

・当然、多くのベドウィンは、エジプトという国に憎しみを抱いている。
→ 特に2011年の「アラブの春」以降…エジプト警察が、カイロなど都市部の治安維持に力を割かざるを得なくなり、シナイ半島の監視体制が弱体化すると…彼らの〝積年の恨み〟が、〝実行〟に移されるケースも増えてきた…(ex.パイプラインの爆破事件など)。

・こうした混乱に目をつけたのが、ISだった。…エジプト政府から、水道や電気といったインフラさえ満足に与えられないベドウィンは、非常に貧しい。
→ そんな状況下で、ISが…〝反エジプト感情〟を煽りつつ、金銭的なインセンティブをちらつかせれば…一部の血気盛んな若いベドウィンを仲間に取り込むことは、難しくない。
…これは国際社会が長年、エジプト政府によるベドウィン弾圧を、黙殺してきたことの結果でもある。

・世界にはたくさんの〝弱者集団〟が存在しているが…チベットのように世界中から注目され、欧米社会が莫大な支援を行うケースがある一方(※ダライ・ラマの功績…?)…シナイ半島のベドウィンのように、無視され続ける人々もいる。
→ こうした〝エアポケット〟が、ISのような組織にとっては、格好の〝居場所〟(勢力拡大拠点)になるのだ。


○欧州の新たな火薬庫・ボスニア


 ・パリの同時多発テロ事件では……犯人たちが拠点としていたベルギーのブリュッセルが、〝欧州産ジハーディスト〟を輩出した街として、世界から注目されたが…実は、多くの中東ウオッチャーがベルギー以上に警戒している国が、(西欧と中東地域の中間点に位置する)バルカン半島のボスニア・ヘルツェゴビナ。

・2015年に新たにISに加わったボスニア出身者は、(当局が把握しているだけで)92人に上り、この数字は(ISが本拠地としていたシリアやイラクを除けば)、ヨルダン、チュニジア、サウジアラビアに次ぐ4番目の多さで、欧州の国では最多…(ちなみに続く5位も、同じバルカン半島のコソボ)。

・なぜ、ボスニアからは多くのジハーディストが生まれるのか。
…国家や地域が、互いに対立する小さな国家・地域に分裂していくことを表す〝バルカナイズ〟という地政学用語があるが…バルカン半島の民族対立が、第一次世界大戦の引き金となり、〝欧州の火薬庫〟と呼ばれた頃に生まれた造語。
→ 現状を見るにつけ、この地域の問題は、あれから100年経っても何も解決できていないのだ、と言わざるを得ない…(※「人類の英知」の限界?…詳細はP101~102)。

・また、ボスニアの失業率は、50%近いとされ(パレスチナのガザ地区とほぼ同水準)、経済はどん底で教育水準も低い。治安維持能力も脆弱で、内戦の影響から武器の調達も容易……どこをどう見ても、原理主義的なアジテーション(煽動)やテロリズムが、浸透しやすい下地が整っている…。

・さらに、この地域のムスリム社会には…1990年代のボスニア紛争やコソボ紛争で起きたムスリム虐殺を、見棄てた国際社会に対する〝不信感〟…も根強く残っている。
→ あの頃…「なぜムスリムだけが無意味に殺されるのか」、という疑問を抱いた子供たちが…今や大人になって、ISのような過激思想に共鳴している…という側面も否定できない。


○ウイグルの怒りに共感できるか


 ・一連のテロは、「イスラムの教義を曲解した〝変なヤツら〟による犯罪」…という単純な問題ではない。
→ 欧米の先進国の多くは、豊かになっていく過程で…「移民の労働力」に依存しつつ…その一方で、〝彼らに対する偏見や格差〟…を社会に内包してきた。
 〔※最近の報道では…日本でも、コンビニ業界などは(農業も?)、「アジア系の労働力」に依存しなければ、立ち行かなくなっているらしい…〕

…また、パレスチナの悲劇的な状況や、中東諸国の独裁者による人権蹂躙に対しても…「見て見ぬふり」を続けながら…彼らの国にある「資源や安い労働力」を、〝成長の原資〟としてきた。
→ そうした構造に対する、不満を溜め込んできた人々のうちの一部が…過激で暴力的な思想に共鳴してしまっているのは、否定できない事実だ。
…見方によっては、欧州の先進国には…今まさにカルマ(業)のように、〝見棄ててきた不幸〟が逆流してきている…と言えるかもしれない。

・しかしこれは、日本人にも無関係なことではない。…現代社会においては、グローバリズムに加担している国は、すべて「結ばれている」から。
→ 日本という国も…〝様々な人々の不幸な境遇〟を利用することで、〝豊かさを享受〟している。
→フランスが当事者であるように…日本もまた、〝テロが生まれる構造〟の当事者なのだ。

・残念ながら、こうした〝怒り〟をもとにしたテロが、日本で起きる可能性をゼロにはできない。…より厳しく言えば、状況は“not if but when”(来るか来ないかではなく、いつ来るか)の問題…。

・ただし、その可能性を少なくできる方法はある。…その一つは、中国や北朝鮮など、近隣国の「人権問題、独裁、男尊女卑…といったあらゆる不公平、不正義」をしっかり見つめること。
〔※う~ん、このことは、(他国だけではなく)自国の「不公平、不正義」に対しても、しっかりチェックしていくことも欠かせないはずだが…(最近の報道によれば)国連機関の日本に対する「人権是正勧告」を、安倍政権は拒否したよう…〕

・特に、中国国内の新彊ウイグル自治区という〝火種〟から、目をそらすべきではない。
…中国の習近平政権は近年、「ウイグル族がISと繋がっている」という大義名分を掲げ、過酷な弾圧を加えてきた。→ 最近では同自治区を脱出し、トルコなどに亡命するウイグル族も増加中で…その一部はさらにシリアなどへ流れ、実際にISなどの戦闘員になっている、と言われている。…また、2015年8月のタイ・バンコクでの爆発テロ事件でも、ウイグル族の関与が疑われている。

・彼らの怒りの対象は、もちろん中国共産党だが…それに加えて、これまで中国の圧政を見過ごしてきた、〝国際社会への怒り〟もあるのだ。
→ タイで起きたようなテロが、日本では起きないと誰が言えるだろうか。
…「自分たちの幸福を支えている不幸が、いつどこかでねじれて逆流してくる。もしかしたら自分も加害者の一人かもしれない。→ まずはひとりひとりがその違和感をそっと口に含んで…ゆっくり咀嚼して味わってみる――そこからしか解決の道は開けないでしょう。」

 (2章…了 → 次章から、いよいよ「日本の問題」に入っていきます…)
                                         

〔追記……東日本大震災(原発過酷事故)から7年、そして敗戦から70余年……それらの「敗北」「失敗」から、この国は、何を、どこまで、学んできたのだろうか…(最強の行政官庁での、あまりに姑息な公文書の隠蔽・改竄が発覚…)…2018.3.11〕

〔追記2…参考資料〕
①『日本軍兵士』―アジア・太平洋戦争の現実―吉田裕(中公新書)2017.12.25
                              (2018.2.20 4刷)
②『失敗の本質』―日本軍の組織論的研究―中公文庫 1991.8.10(2017.2.10 64刷!)
 (表紙カバー文:「なぜ日本人は空気に左右されるのか?」
「破綻する組織の特徴……▲トップからの指示があいまい ▲大きな声は論理に勝る  ▲データの解析がおそろしくご都合主義 ▲「新しいか」よりも「前例があるか」が重要 ▲大きなプロジェクトほど責任者がいなくなる」)
〔※う~ん、旧日本軍の〝組織的失敗〟の特徴は、そのまま現代日本の〝官僚組織の失敗〟に繋がっている…?!〕